校長ブログ3
もう悪口を言うのはやめよう」全校朝会050529
本日の全校朝会は、meetを使って教室に配信して行いました。
「校長先生は、図書室にあったこの本を読みました。星野富弘さんの『かぎりなくやさしい花々』です。星野さんは、小さなころから体を動かすことが大好きで、群馬大学を卒業して、群馬県の中学校の体育の先生になりました。授業中は生徒と一緒に汗びっしょりになってとびはね、放課後も校庭に誰もいなくなるまで、一人で走ったり、ボールを蹴ったりしていました。
6月になりました。放課後、体育館で、マットを引いて宙返りをしていたときです。何度目かの宙返りをしたときに、どうしたことかマットに頭から落ちてしまいました。その時は、今まで何十回もやってきた失敗の一つだと思ったそうですが、どうしても起き上がることができなかったのです。「たいへんなけがをしてしまったぞ。」と心配する親の顔を思い出したそうです。
首の骨を折ると死んでしまうか、一生動けなくなるかです。星野さんも、病院で何度も生と死の間をさまよいました。お医者さんや看護師さんの懸命の治療で、命は助かりましたが首から下は動かないままでした。
病院で、星野さんの口癖は「ちきしょう」でした。幸せな人を見れば、にくらしくなり、眠れないときは、むりやりお母さんを起こし、熱が出れば大騒ぎをして、先生や看護婦さんを集めるような、なさけない自分だったそうです。
ある日、同じ病院に入院していた中学生が、東京の大きな病院に行くことになりました。病院のみんなで、寄せ書きを送りことになり、先生や看護師さんがサインペンで「がんばれ!」と励ましの言葉を書いていきます。星野さんの番に来ました。手が動きませんから、口にくわえましたが、点を打つのが精一杯でした。それでも、その中学生はとても喜んでくれたのです。
それから星野さんは、字を書く練習をします。ペンに巻き付けたガーゼは、唾液でぐっしょりねれ、歯ぐきから血が出るほど歯を食いしばって、額に汗をにじませて書きました。小学生が初めて自分の名前が書けるようになった時と同じくらいうれしくてしたかなかったそうです。目の前がパーッと明るくなったそうです。練習していけば、いつかきっと、美しい字が書けると思いました。
そうして何年もたち、星野さんが書いた文字や絵が、すばらしい詩集になって、本になりました。(詩集を紹介しながら)その中から、今日は、この詩を紹介します。
鏡に映る 顔を見ながら思った もう悪口をいうのはやめよう
私の口から出たことばを いちばん近くで聞くのは 私の耳なのだから
体が動かなくて、自分では何もできない、幸せな人を見ると憎らしくなっていた、そんな星野さんが、もう悪口はやめよう、というのです。そして、自分でもできることを考えました。星野さんは、弱い自分に勝って、強い自分になったのだと思いました。
八小は、みんなで仲良く生活するところです。自分の心を強くして、悪口を言わない人になりましょう。そして星野さんのように、自分にできることを、考える人になりましょう。これら本は、図書室に置いてあります。」
休み時間になると、たくさんの子供たちが図書室を利用しています。片隅に星野さんのコーナーを用意しました。手に取ってくれたら嬉しいです。